Mac用のWebカメラについて悩んでいる人は、意外といるのではないでしょうか。ほとんどのMacはカメラを内蔵しているので、いざサードパーティ製のアクセサリを買おうとすると情報が少なくて困ってしまいます。そこで本記事では、EMEET S600というWebカメラの品質について、MacBook Proの内蔵カメラと比較しながら検証していきます。Webカメラとしては少し高級な価格帯に位置する製品ですが、果たして品質は満足できるものなのかどうか、この記事でぜひご確認ください。
Macユーザが直面するWebカメラの問題
クラムシェルモードでは内蔵カメラが使えない
MacBookシリーズを外部ディスプレイにつなぎ、本体を閉じて使っている人もいると思います。いやゆる「クラムシェルモード」と呼ばれる使い方ですね。この場合、悩みの種の1つとなるのがWebカメラです。
MacBook本体を閉じていると、内蔵のFaceTimeカメラは当然ながら利用できません。しかし、多くの外部ディスプレイはWebカメラを内蔵していないため、別途Webカメラを用意する必要が出てきます。
かくゆう僕もその一人で、Macを外部ディスプレイにつないで使っています。日常的にリモート会議やリモート取材があるので、画質や音質のいいWebカメラを探していました。いくつかの製品情報を見比べながら、たどり着いたのが「EMEET S600」でした。

1080pでは物足りない?
EMEET S600は、4K画質のWebカメラです。実はこの製品の前に、もっと安価な1080pのWebカメラを購入したのですが、その画質は到底満足できるものではありませんでした。僕が使っているMacBook Proの内蔵カメラも1080pですが、同じ1080pでも明らかに見劣りする画質だったのです。
そんな経験を経て、より高画質の製品を求めて「EMEET S600」を買い直したというわけです。
※すべての1080pカメラを試したわけではないので、1080pでも良好な画質の製品があるかもしれません。あくまでも個人の体験談としてお読みください。
EMEET S600の基本スペックと価格
主なカタログスペック
実際の比較を行う前に、製品のカタログスペックを紹介しておきましょう。主なスペックは次のとおりです。
- 最大解像度:4K UHD(3,840 × 2,160ピクセル)
- 最大フレームレート:60FPS(1080p)
- 画素数:8メガピクセル
- 視野角(FoV):88°
- マイク:2つの全指向性マイク
- 寸法(幅×高さ×奥行き):52mm × 71.5mm × 71mm
- OS:Windows 7,8、10,11 以降、Mac OS 10.10 以降
より詳細なスペックはメーカーサイトでご確認ください。
価格帯と購入先
EMEET S600の標準価格は、8,999円(本記事執筆時点)。Webカメラとしては若干高級なクラスの製品です。しかし、2,000〜4,000円台の低価格のWebカメラはほとんどが1080p画質。4K画質の製品としては、比較的手頃な部類に入ると思います。
EMEET S600は、公式サイトのほか、各種オンラインショップでも販売されています。

Mac内蔵カメラとの品質比較
画質の評価
それでは肝心の画質比較についてレポートしていきましょう。1枚目がMacBook Pro(2021,14インチ)の内蔵カメラ、2枚目がEMEET S600です。「QuickTime Player」アプリでムービー収録したデータから画像を切り出しています。また、撮影位置やタイミングはどちらもほぼ同じ。空間自体は若干暗めで、正面からライトを当てて撮影しています。


他製品と比較して改めて気づきましたが、MacBookの内蔵カメラはかなりバランスの取れた画質です。ホワイトバランス、階調表現など、かなり自然にまとめられていると感じます。ディテールの再現もまあまあ。
一方、EMEET S600のほうは若干コントラストが強い印象。部屋が暗くなればなるほどコントラストが強くなる印象でした。オート露出補正の癖なのだと思います。また、さすが800メガピクセルのカメラだけあって、ディテールは細部まで再現されています。
加えて、EMEET S600は、画角がかなり広いと感じました。自分だけが出席するビデオ会議であればそれほど広い画角は必要ないかもしれませんが、複数人数を同時に映すようなシチュエーションでは効果を発揮するでしょう。
個人的な評価としては、十分満足できる映像品質だと感じています。暗い空間になるほど階調が不自然になるので、なるべく明るい場所で使うのがいいと思います。
もう1つ気づいた点は、オートフォーカスの性能について。この製品はオートフォーカスでピント調整を行ってくれますが、ピント合わせに手間取ることがたまにあります。実用上はほとんど問題ありませんが、もし会議の途中でピント合わせが発生した場合、少しの時間だけ映像がぼやけてしまいます。といっても、長くて2秒くらいだと思いますけれど。
音質の評価
続いて、音声品質についてレポートします。音声も「QuickTime Player」アプリでムービー収録したものを評価しています。
まず、MacBookの内蔵マイクのほうは、全体的に録音ボリュームが小さめなのが気になりました。また、ほんのちょっと声がくぐもった印象で、わずかながら「ボー」っというような低音のノイズも重なっていました。
一方、EMEET S600は、十分な音量で音質もクリアでした。しかし、「サー」という高音のノイズが重なっていたのが気になりました。
これらのノイズは、ビデオ会議アプリ側で除去してくれる可能性もありますし、そのままでも十分実用レベルに足る音質だとは思います。しかし、もしより良い結果を望むなら、別途マイクを使用したほうがいいかもしれません。
僕は、後で文字起こしをする取材やインタビューでは、念のためこのピンマイクを使っています。

画質・音質以外にもいいところがある
角度調整ができる
EMEET S600は、左右や上下に向きを調整できます。まあ、ビデオ会議で画角を左右に振る必要はほとんどないとは思いますが、自分の目線の高さに合わせて微妙に上下の向きを調整できるのがうれしいところです。MacBook Proの内蔵カメラだとディスプレイごと動かすしか手がないので、EMEET S600のほうが自由度が高いと言えます。

三脚穴がついている
本体の底面に三脚用の穴が開いてます。ビデオ会議で使うことはないと思いますが、動画撮影や動画配信をしたい時に便利だと思います。4K映像が撮れるので、動画撮影用のカメラとしてもけっこう使えるのではないでしょうか(僕は動画配信をしないので、あくまで想像ですが)。

開閉式のレンズカバーがある
EMEET S600には、開閉式のレンズカバーがついています。「変なアプリが勝手に撮影していないか不安」という心配を抱く方も、物理的にカバーを閉じてしまえば安心でしょう。キャップを取り付ける機構だと、キャップを無くしてしまう恐れがありますが、開閉式であればキャップを紛失する心配がありません。

シンプルなデザイン
僕にとって、製品のデザインがいいかどうかはかなり重要なポイントです。その点、この製品は、円筒形を基本としたシンプルなフォルムなのがいいと思います。また、他メーカーのWebカメラではメーカーロゴが悪目立ちしている製品も多いのですが、この製品はメーカーロゴがさりげなくて好感が持てます。

Macとの相性は大丈夫?
最新のmacOSでも問題なし
僕はmacOS Venturaで使っていますが、問題なく認識しています。特にドライバなどをインストールしなくてもそのまま使えますが、「EMEET Link」というユーティリティアプリをメーカーからダウンロードし、インストールしておくことをオススメします。
購入当初、映像が暗くなることがよくあったのですが、EMEET Linkからファームウェアの更新を行うことで解決しました。使用前にはファームウェアを最新にしておくといいと思います。
なお、他のビデオ会議アプリを起動しているとアップデートが完了できません。途中で更新が失敗してしまう場合は、ほかのアプリを終了してから実行してみましょう。
ビデオ会議アプリの対応は?
僕自身が試したところ、FaceTimeビデオ通話、Zoom、Microsft Teams、Facebook Messengerで利用できました。今のところ、僕が試した限りでは認識しないアプリはありません。
まとめ
EMEET S600のいいところ、残念なところ
いいところ
- 最大で4Kの高解像度
- クリアな音声
- 角度調整が可能
- 三脚に装着可能
- 開閉式レンズカバーを搭載
- シンプルなデザイン
残念なところ
- 暗い環境だとコントラストが強い
- オートフォーカスがたまに遅いことがある
- わずかに高音のノイズが混じる
このように、若干残念な部分はあるものの、トータルで見れば十分に実用的だと思います。また、8000円前後という価格を考えれば、コストパフォーマンスは高いと思います。
EMEET S600で変わったMacライフ
この製品を購入する前、普段は外部ディスプレイでMacを使っているのにビデオ会議の時だけMacBook Proを開くという状態でした。しかし、この製品を購入してからは、いちいちMacBook Proを開くことなくスムーズにビデオ会議を行うことができます。
僕と同じようにMacを外部ディスプレイにつないで使っている人はぜひ使ってみてください。また、Windowsユーザの方にも参考になれば幸いです。

