iPadで使えるイラスト制作アプリはいくつもあります。僕もいろいろと試してきましたが、その中でも一押しなのが「アイビスペイント X」というアプリです。僕がこのアプリをお勧めする理由を3つご紹介します。
いろいろなイラストアプリを試してアイビスに辿り着いた
僕は昔マンガ家のアシスタントをしたり、同人誌を描いたりしていたため、日常的にイラストを描いていました。しかし、それから時が流れ、最近はそこまでイラストを描かなくなっています。
それでも雑誌でイラスト系ツールの紹介記事を描くことがあって、いろいろなiPadアプリを使っています。その中で、僕がもっとも気に入っているのが「アイビスペイント X」というアプリです。
1.ユーザインターフェイスがわかりやすい
たまにしかイラストを描かない僕にとっては、ユーザインターフェイスの良し悪しがかなり重要です。
まず、画面がツールやパネルだらけになるようなアプリは、個人的にはあまり好きではありません。キャンバスが狭くなってしまうし、どこに何があるのか迷ってしまいます。馴れで解消する部分だとは思いますが、ぱっと見でごちゃごちゃしたアプリは、その時点で避けたくなってしまいます。
しかし、逆にシンプルすぎるのも困りものです。見た目シンプルなせいで、使いたい機能がサブメニューの中に隠れていたりして操作に手間取ったり、そもそも使いたい機能があるのかどうかもわからないパターンもあります。
そういう観点で、アイビスペイントはちょうどいいです。パネル類は適度にスッキリしているし、アイコン類はわかりやすい。日本語でツール名やボタン名が書いてあるのも親切です。また、何か操作をすると、一瞬だけ自分の行った操作が「パッ」と表示されるのも親切です。例えば、新規レイヤーを追加するボタンを押した瞬間、画面に「新規レイヤーの追加」という文字が現れて、自分の行った行為の答え合わせができます。いろいろなアプリを試していると、こうした「視覚的フィードバック」が意外に重要だと感じます。
ユーザインターフェイスの好みは人によってさまざまだと思いますし、日々たくさんのイラストを描く人は別のポイントが重要なのかもしれません。しかし僕にとっては、久しぶりに起動した時でもすんなりと操作ができるユーザインターフェイスというのが大切だと感じているのです。

これがアイビスペイントの画面。ある程度スッキリしていて、わかりやすさもあって、ちょうどいい感じです。
2.細かくカスタマイズできるのがうれしい
あと、使い勝手のカスタマイズ性が高い点もいいと思います。ここでは、実際に僕が行なっているカスタマイズ内容を3つご紹介します。
こんなカスタマイズができる
- 左利き用に表示を変更
- クイックスポイトはオフ
- レイヤーサムネイルを小さく
それぞれ詳しく紹介しましょう。
1.左利き用に表示を変更
右利きの人はピンとこないかもしれませんが、左利きは通常のインターフェイスだといろいろ不便なことが起きるのです。描いているときに意図せず変な部分に手が当たってツールが切り替わってしまったり。
その点、アイビスペイントは左利き用にツールバーの位置を変えられるため、誤動作を少なくできるのです。
2.クイックスポイトはオフ
2つ目は、「クイックスポイト」の機能です。クイックスポイトというのは、ペン先がキャンバスの同じところを指し続けた時、その部分の色を拾うという機能です。僕はけっこう誤動作してしまうのでオフにしています。
できればクイックスポイトが発動する時間を設定できるといいんだけど、今のところは設定できないようなので。でも、オン/オフを設定で変えられるのはうれしいです。

上が設定画面を開いたところ。上から3つ目が「クイックスポイト」のオン/オフ。画面真ん中あたりに、ツールの位置設定があります。
3.レイヤーサムネイルを小さく
そして3つ目は、レイヤー行の高さの変更です。レイヤーパネルを開いたときの見た目に影響します。僕はとにかくレイヤーをたくさん作るタイプなので、レイヤー行の高さを少なめにして、1画面にたくさん入るようにしました。

これが、レイヤーの行を少し縮めた状態。標準だともう少し各レイヤーが大きいです。もっと縮めることもできるのですが、そうすると「ハードライト」とか「普通」とかの「レイヤーモード」が表示されなくなってしまいます。
ちなみに、このレイヤーパネルはちょっと不満もあります。いくらレイヤー行の高さを縮めても、レイヤーパネル自体が大きくて、画面の大半を塞いでしまうのが気になります。もっとレイヤーパネル自体をコンパクトにできるといいんですが…。
もうパソコンでイラストを描くことはないかも…
その昔、僕がデジタルでイラストを描くときはもっぱらPhotoshopを使っていました。
Macで使えるイラスト作成ソフトはいくつか選択肢があり、いろいろなものを試しました。しかし、機能面の豊富さではやはりPhotoshopに並ぶものがなく、いろいろ試しても結局Photoshopに帰ってくるというパターンを繰り返していたのです。豊富な色調補正機能、変形機能、調整レイヤー…。「そんな機能、イラストを描くのに必要?」と思うかもしれませんが、僕にとってはかなり必要度が高かったのです。
でも、いろいろなiPadアプリが出てきた今、個人的には、もうMacやWindowsでイラストを描くことはないのではないかと思い始めています。ペンタブレットで描くよりもiPadに直接描くほうが直感的だし、iPad Proだとパフォーマンスの面でもほとんど不満を感じないし。
機能面も、今のアイビスペイントなら十分に実用的だと感じています。色調補正機能や変形機能もしっかり搭載されているし。調整レイヤーの機能は存在していないので、欲を言えばそこは実装してほしいけれど。
描く楽しさをもっと気軽に
こちらが、最近僕が描いたイラスト。背景は、アイビスペイントのアプリ内からパターン素材を呼び出して、ぼかしや色調補正をかけたもの。いろいろなパターン素材や高機能なフィルタが充実しているのもアイビスペイントの魅力の一つです。

今はときどきしかイラストを描かないけれど、それでもいざ絵を描き始めると、楽しさで時間を忘れて没頭してしまいます。まあ、全然上手に描けなくて悔しい気持ちになることも多いのですけど…。これからもときどき、思い出したようにアイビスペイントを使って、楽しい時間を過ごしていきたいです。