ソフトバンク光でインターネットの速度低下を回避

ソフトバンク光のルータを使ったらインターネットの通信速度が劇的に向上したという話。遅かったのは何が原因で、どんな理由で改善したのかを書き留めておきたいと思います。
光なのにモバイル通信よりも遅いなんて…
まず前提として、以前の我が家の通信環境と発生していた状況についてまとめます。
以前の我が家の回線は、NTT東日本のフレッツ光マンションタイプ+OCN。屋内ではアップルのAirMac Extremeで無線化していました。その時点から、たまにインターネットが遅くなる症状が起きていました。常に遅いわけではなくて、タイミングによって大幅に遅いという状況です。
そんな日常をしばらく送って、ある時ふと思い立ってソフトバンク光に乗り換えました。速度を上げたいというより、回線+プロバイダ料金を下げたいというのがメインの理由でした。
ソフトバンク光は、契約時に独自の「光BBユニット」というWi-Fiルータを貸してくれたんですが、我が家はアップル製品中心の生活をしているので、いったんつないだそのルータはすぐにしまって、AirMac Extremeを光モデム(回線終端装置、またはONU、ホームゲートウェイ)につないで使うことにしました。
ところが…。どうにもこれが調子が悪い。極端に遅く感じる状況が頻発したのです。
「工事業者が配線で何かやらかしたんじゃないか?」などと疑いながら、とりあえず回線のスピードテストを試してみます。

速度計測に利用したのは、グーグルの「インターネットスピードテスト」というサービス。グーグル検索で「スピードテスト」や「speed test」と入れるだけで出てきてくれるのでお手軽です。その上MacでもPCでもiPhoneでもしっかり計測できる点も嬉しいところ。
ちょっと話が横道にそれましたが、このスピードテストを実行してみたところ、下り(ダウンロード)速度がなんと4〜7Mbpsというさんざんな値。これはもはや、iPhoneのLTE回線で通信したほうが速いレベルです。もう、呆れるべきか悲しむべきか、わからなくなるほど。
ただ、気になったのは、上り(アップロード)速度が70〜100Mbpsと十分な速度を出していたこと。上りでこれだけ高い数値が出るなら、配線工事のトラブルというわけではなさそうです。
そこで、似たような状況に陥っている人がいないか、インターネットで情報収集をしてみると…。いろいろなことがわかってきました。
ユーザ側で手が出せない深刻な問題
近年、日本のインターネット全体の通信量は加速度的に増えていて、その混雑による速度低下がかなり深刻な問題になっているようです。これは、マンションタイプで回線を共用しているから、という集合住宅のレベルではなく、プロバイダ(ISP)の地域ネットワーク単位での問題です。
もう少し詳しく説明すると、ボトルネックになっているのは、PPPoEのISP網回線終端装置(各家庭に設置される回線終端装置とは異なる)。家庭のPPPoE通信は、各都道府県ごと、NTT基地局内にあるISP網回線終端装置を通ってインターネットにつながります。このISP網回線終端装置は、各プロバイダごと、そして地域ごとに、ユーザ数に応じて設置されます。装置1台あたりが処理できる量には限界があり、キャパシティを超えることで速度の遅延が発生します。
同じフレッツ光回線を使っていてもプロバイダによって混雑の度合いは変わってきますが、今はどのプロバイダでも深刻なキャパシティオーバーに苦慮している状況のようです。ようは、ユーザがフレッツ光でPPPoEでつないでいる限り、根本的な解決は望めないというわけです。

PPPoEの混雑を回避する技術
では、結局ユーザは諦めるしかないのかといえば、そうとも言い切れません。ソフトバンク光は、この混雑を回避するサービスを提供しているからです。
それが「IPv6 IPoE+IPv4」というサービスです。このサービスは、既存のPPPoEのISP網回線終端装置を迂回して、本来IPv6インターネットサービスに接続するための「BBIXのゲートウェイサーバ」というものを通ってインターネットにつなぎます。IPv4とIPv6の違いを説明するとかなり長くなるためここでは割愛しますが、簡単に言えば、混雑しているところを避けられるので速度低下を免れられられるというわけです。

この「IPv6 IPoE+IPv4」サービスを利用するには、対応したルータが必要になってきます。ソフトバンク光が提供しているルータはそれに対応していますが、AirMac Extremeではその設定はできません。調べてみましたが、どうしたって無理のようです。一方、光BBユニットのほうは、特別な設定を行うことなくこのサービスの利用が可能でした(我が家の光BBユニットは「E-WMTA2.3」という型番です)。

ということで、いったんしまったソフトバンク光の光BBユニットを再びつなぎ直すことにしました。速度を測ってみると、上り/下りともに200Mbpsオーバーという数値。非常に快適です。
結論としては、ソフトバンク光は、光BBユニットを使えばかなり快適なスピードが出る、ということ。ソフトバンク光で思ったようなスピードが出ないという人は、まず光BBユニットを使っているかどうかをチェックしてみてください。
また、ソフトバンク以外のプロバイダでも、PPPoEの混雑を迂回する技術を提供しているところはあるようです。IIJmioひかりの「IPoE オプション」など。プロバイダを変えたいけれどソフトバンクにはしたくない、という人は調べてみてはいかがでしょうか。
ちなみに、最終的に我が家のネットワーク構成は、この光BBユニットとAirMac Extremeをイーサネットをつなぎ、屋内のWi-FiネットワークにはAirMac Extremeを
利用しています。光BBユニットのWi-Fi機能はあえてオフにしているという状態です。この辺りの屋内ネットワークの構成については、長くなってしまうのでまた別の記事で。