PayPay証券の長所と短所:向いているのはどんな人?

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1000円から株が買える「PayPay証券」。僕は2016年6月から、米国株の取引目的で始めました(当時の名称はOne Tap BUY)。最初の印象は「手軽に買えるのはいいけれど、調べれば外国株を買う方法は他にもあるし…」という感じだったのですが、しばらく続けて、あんがい自分のスタイルに合っていることがわかってきました。世間の口コミや評判はいろいろあると思いますが、この記事では自分自身が感じた長所と短所、メリットとデメリットをまとめてみたいと思います。

※2021年2月16日更新:サービス名称を最新の名称に変更するとともに、最新の状況に合わせて内容を一部修正しました。なお、元々の記事執筆当時、取引できる銘柄は米国株のみでした。この記事は米国株の売買をベースに言及しています。

そもそもPayPay証券って

PayPay証券は、日本株/米国株を1000円単位で購入できるサービスです。

通常の株の売買の場合、企業によって1株の価格というのがあって、それを何株買うかで出資額が変わります。例えばグーグルの親会社(持ち株会社)であるアルファベットの場合、本記事執筆時点での1株の価格は807ドル。1ドルが117円なので、日本円にすると116×117=9万4419円となります(わかりやすいように小数点以下切り捨て)。つまり、1株から買える証券会社を利用しても、アルファベット株を買うためには最低9万円以上が必要となるわけです。

ところがPayPay証券では、このアルファベット株も1000円から購入できます。計算上は0.0105株とかそういう中途半端な株数が手に入るわけですが、ぶっちゃけこのサービスでは自分が何株持っているかを意識する必要はありません。購入後にアルファベット株が10%上がれば、1000円が1100円となるわけです。しかも、株価の変動による損益だけでなく、配当金も購入額に応じてしっかり分配されます。このわかりやすさが、PayPay証券の一番の特徴です。

PayPay証券の短所とは?

一方、こうした手軽さの代償として、PayPay証券にはいくつかの短所もあります。現状で僕が気付いている短所(になりうるポイント)を書き出してみましょう。

  1. スマホからチャートが確認できない
  2. 購入できる銘柄が限られている
  3. 手数料が高くなることがある

1の「チャート」というのは、日ごとや時間ごとの値動きを図示したものですね。使い始めたとき、一番抵抗があったのがこの点でした。実際、チャートを確認できないのは不便だし、そもそもチャートも表示できない投資アプリなんて信頼に欠けるのではないかと感じたものです。ただ、信頼できるかどうかは置いておくとして、実用面では、チャートは他のアプリを使ってみればいいか、というところに落ち着きました。

2の銘柄が少ないという点も、人によっては大きな欠点になるでしょう。30というのは本当に少ない数で、選択肢なんてほとんどないと言っていいでしょう。スタートアップ企業の株を青田買いしたり、自分が伸びると踏んだ企業の株も好きに買えません。登録されている30社は、いずれも超大手企業ばかりです。

3の手数料ですが、これに関しては、購入額(売却額)によって変わってきます。一概に高いと言えない部分もあり、詳しくは後ほど書き留めておきたいと思います。

PayPay証券の長所

長所については、公式サイトでもいろいろアピールされているので、ここでは「個人的に特にいいと思っている点」を書き留めておきます。

  1. アプリがシンプルでわかりやすい
  2. 24時間取引できる
  3. すぐに決済できる

1は、他のネット証券会社のアプリを使ったことがある人なら、皆感じると思います。他のネット証券会社のスマホアプリは、当然ながらチャートが見られるうえ、分析ツール(指標)なども表示できて高機能です。それに比べて、PayPay証券のスマホアプリは拍子抜けするくらいシンプルです。当然、機能も高くありません。しかし半年使ってみて、それはむしろ長所だと感じるようになりました。分析したいときは他のアプリを使えばいいのですから。PayPay証券のアプリはそうした分析機能はバッサリと切り捨てた分、誰にとってもとっつきやすいアプリに仕上がっています。しかも自分の資産や利益の変動推移などはグラフィカルに確認できるようになっているのが、なかなかうれしい点だと感じています。

2については、株取引をしていない人はピンとこないかもしれません。株の売買は本来、株式市場が開場している間しか取引できないのです。米国株の場合、ニューヨーク証券取引所の開場時間中となるわけですが、時差があるため日本の昼間は取引ができなくなってしまうわけです。しかしPayPay証券なら、時差や開場時間を気にすることなくいつでも購入・売却ができるわけです(ただし、開場時と閉場時では手数料が変わります)。

3も、株取引をしていない人はピンとこない項目だと思います。通常は、株の売買をする際、自分が買い操作をしてもすぐに買えない場合があります。実際、株というのは売る人と買う人がいて初めて成立するわけで、自分が買おうと思っても売り手が見つからなかったり、売ろうとしても買い手が見つからなかったりして決済のタイミングがずれていきます。このタイミングのずれによって、思っていた値段で買えない/売れないということが起きてきますし、第一、決まるまで少し不安になります。PayPay証券にはこれがなく、買い操作をすればすぐに処理されるのです。

PayPay証券は手数料が高い?

さて、お金の話になると、手数料のことは無視するわけにはいきません。一部で、PayPay証券は手数料が高いという指摘もありますが、実際のところはどうなのでしょうか。条件を確認してみましょう。

まず、米国株のやりとりでは、ドル円の為替交換の手数料(スプレッド)がかかります。PayPay証券の場合は、買付・売却ともに1ドルあたり0.35円の手数料が発生します。

また、株取引に対しても、スプレッドという形の手数料がかかります。PayPay証券の場合、米国市場開場時で0.5%、閉場時で0.7%となります。

では、他のネット証券はどうか。某M社の米国株取り引きは次のようになっています。

ドル円の為替交換のスプレッド:1ドルあたり0.25円
株取引手数料:約定代金の 0.45%

そのほかにも配当金にかかる税金や消費税など要素はあるのですが、この2点だけ見ても、PayPay証券は割高だということがわかると思います。

ただし、某M社の場合、株売買の最低手数料と最高手数料が決まっています。最低手数料は5ドル、最高手数料は20ドルです。この最低手数料というのが見逃せない要素になってきます。

1万円の取引をする場合で考えてみましょう(1ドル117円として計算)。
PayPay証券の場合、為替交換手数料が約29.9円、株取引手数料が50円。合計79.9円が手数料になります。

一方、某M社のほうは、1株85.4ドル(9991.8円)の銘柄を買ったと仮定します。
その場合、為替交換手数料が21.35円、株取引手数料が最低手数料の5ドル(5×117円)=585円。合計で606.35円です。

つまり、1万円程度の取引ではPayPay証券のほうが手数料は少ないことになります。
1取引あたり10万円を超えるような場合は他社のほうが手数料は少なくなりますが、少額ならPayPay証券のほうが少なくて済むのです。

(補足)
ただし、少額で買い続けた結果として数百万円分の株を所持した場合、それを売却するには結構な手数料がかかります。試算したところ、1000万円分の株の売却には10万円近い手数料が発生する計算になりました。この点はあらかじめ覚悟が必要です。

PayPay証券に向いている人、向いていない人

以上の長所と短所、手数料をまとめると、PayPay証券に向いている人と向いていない人が見えてきます。

○向いている人
・少額ずつ購入したい人(積立感覚で外国株に投資したい人)
・少額の値動きで売買を繰り返して株取引を楽しみたい人
・買いたい銘柄が30社の中にある人
・とにかくわかりやすい取引がいいという人

○向いていない人
・10万円以上の売買を行いたい人
・さまざまな銘柄から選びたい人

こういったところでしょうか。

そして僕はといえば、今のところPayPay証券が肌に合ってます。PayPay証券の中に入っているIT企業のいくつかはこの先も伸びていくと信じて、定期的にコツコツ買っていこうかと考えています。また、投資ツールをPayPay証券だけに限定するつもりもなく、他のネット証券も併用して、気になった銘柄を見つけたらそこに投資しています。

うまく使い分けて、資産を増やしていければいいんですが…。数年後どうなっているんでしょうね。

※念のため付け足しておきますが、本記事の内容はあくまで執筆時点のものであり、今後サービス内容が変更になったとしても筆者は関与しません。

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