編集者・小平淳一の共有ノートPleasure to create. Pleasure to Learn.

文章を書く手順にコピー用紙は欠かせない

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20160924bill

文章を書こうとしたけれど、1行目がなかなか出なくい…、そんな経験ありませんか? ちょっと書いてはデリートキーで消して、また書いて、消して…。あるいは、書いている途中でピタッと止まってしまったり。そんな悩みを抱える方に、僕の文章の手順を紹介します。

まず「書きなぐる」ことから

10年来の編集者だったり、テクニカルライターだったり、広告の文章を書いたり。文字を書く仕事を続けてずいぶん経ちますが、文章を書く手順自体は昔からほとんど変わっていません。
まあ、短い文章であればいきなりテキストエディタに入力しはじめてもなんとかなりますが、ある程度ボリュームのある文章だと、いきなりテキストエディタに向かうのは大変です。僕の場合、だいたい1500文字を超える文章だと、テキストエディタの前に下準備を行っています。

で、その準備はというと…。そこらへんのコピー用紙に「書くべき要素」を書きなぐっていくというものです。

まず、道具についてですが。用意するのは500枚が束になって売っているコピー用紙。ノートだと罫線が引いてあるから、なんだか丁寧に書かなきゃいけない気分になるし、1ページ無駄にするとなんだかもったいない気分になります。その点、コピー用紙は無地だから書く文字の大きさも、文字を書く位置もまったく気にしないで書けますし、しかも1枚や2枚無駄にしたって対してダメージはありません。アイデアを書きはじめて「やっぱり違うな」と思って大きくバッテンしたとしてもまったく平気です。

筆記具のほうは、だいたいそこらへんに転がっているボールペンか鉛筆。あくまでも「書きなぐり」なので、文字を消す必要はありません。文字も、自分が読めればいいレベル。とにかく素早くザーッと書ける筆記具ならなんでもいいのです。

書き出すことで見えてくる

では、具体的にはどんなことを「書きなぐって」いくのかと言いますと…。

まず、書くべき主題を紙の左上に書きます。例えば、「macOS Sierra概論」とか。そのあと、その文章で伝えなければいけない基本情報を書いていきます。例えば、いわゆる「5W1H」、いつ、どこで、誰が(何が)、どうだったかみたいなものとか。あるいは、製品のレビューや説明文だったらその製品の特徴や機能を、お店や会社の紹介文だったらその会社の事業内容や場所といった基本情報などです。

あとは、その文章で、自分が述べたいことを思いつくままに書き出していきます。書くスタイルはいろいろです。ワンフレーズで次々と並べることもありますし、あるいは思いついたフレーズをそのまま書き留めていくこともあります。

調子が「悪い」ときは、それを見返して、要素の順序を考えることで、だいたいの形がイメージできます。また、見返すことで、新しい主張や結論が生まれてくることもあります。つまりはいったん全部書き出すことで、全体像が明確になるというわけなんです。

逆に調子が「いい」ときは、紙に書きなぐっていったものが、わりとそのまま文章として使えるものだったりします。文章の順番もメンテナンスレベルで調整するだけで、あとは言い回しをちょっとずつ工夫しながら、紙に書いたものをテキストデータに落とし込んでいきます。

アナログのメリット

この手順、デジタルネイティブな世代なら、いきなりデジタルでやる人もいるかもしれません。マインドマップとか、アウトラインエディタとか、マイクロソフトの「OneNote」とか、デジタルの中で思考を整理するためのツールもいろいろあります。

ただ、僕の場合、やっぱり紙のほうが断然速いのです。手書きの「書きなぐり」は、正直、ほとんど文字の形をとどめていません。他の人には何が書いてあるのかさっぱりわからないし、書いた本人だって、時間を置くと読めないレベルです。ただ、乗っていれば乗っているときほど、かなりの速さで書きなぐっていくことができます。ブワーッと書いて、書くべきことをだいたい吐き出し終われば、あとはまとめるだけ。僕にとって、この作業はアナログのほうが断然効率的です。

編集という仕事をしていると、人の文章を読む機会が増えますが、人によっては本題に入る前がすごくゆっくりで、何行も使ってからやっと本題という人がいます。場合によっては、その結果ひどくあっさりしたまとめになっていることも…。多分そういう人は、最初からテキストエディタで文章を書いているのではないかなー、と想像します。僕も、いきなりテキストエディタで書き始めると、つい前置きが長くなってしまうんですよね。それが手書きの下準備をして置くと、最初から最後までいいテンポの文章が出来上がる気がします。

ということで、これが僕のライティングスタイル。文章をよく書く方、文章を書こうとして途中でつまづいてしまう方の参考になれば幸いです。