Mac用テキストエディタJedit Ωを使う理由(2023年更新)

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僕は、Mac用テキストエディタの「Jedit Ω」を愛用しています。かれこれ20年以上Macで執筆・編集業務を行っていますが、Jeditシリーズはずっと一番のテキストエディタでした。ここでは僕がなぜJedit Ωを使い続けるのか、その理由をご紹介します。

Jedit Ωの魅力1:起動が速く軽快に動く

Jedit Ωを使い続ける第一の理由は、起動が速くて動作が軽快なことです。

僕にとって、テキストエディタはとにかく軽快であることが重要です。今はMacのスペックが上がって、ほとんどのアプリが一瞬で起動するようになりましたが、以前はアプリによって起動時間がずいぶん違いました。中には、起動しようとしてから何十秒(ときには何分間)もDockで跳ね続けるようなワープロアプリもあったのです。いくら高機能でも、そんな鈍重なアプリはあまり使いたくありません。

一方、Jedit Ωはとにかく一瞬で起動します。また、文字入力の最中も、あるいはどんな操作を行なっても、動きが鈍いと感じることがありません。いつでも非常にキビキビと動作してくれます。思考のスピードを邪魔することなくアウトプットできるというのは、文字を書くうえで非常に重要なことだと思います。

また、思考を邪魔しないシンプルなユーザインターフェイスも魅力の1つ。macOS標準の「テキストエディット」に似ていますが、余計なパネルやボタンがないため書くことに集中できます。

前提として、僕は文章を「プレーンテキスト形式(標準テキスト形式)」で書いています。プレーンテキスト形式では、文字に一切の書式が付加されません。雑誌など紙のデザインをするには、書式がついていないプレーンテキストのほうが扱いやすいのです(この辺りは出版社によって違いがあると思います)。
Jedit Ωで[設定]パネルを開いたら[書類タイプ]をクリック。左側のリストから[基本]選んだあと、[書式]タブに切り替えて[プレーンテキスト]を選びます。こうすることで、新規書類を作成するときのファイル形式がプレーンテキストになります。
プレーンテキスト形式のファイルを開いている状態。ツールバーから書式を設定するボタンがなくなり、いっそうシンプルな見た目になります。

Jedit Ωの魅力2:文字数をカウントしやすい

Jedit Ωを使う2つ目の理由は、文字数をカウントしやすいことです。

雑誌の編集作業では、○○文字×△△行という考え方で分量を調整していきます。ライターさんに発注するときには、「ここはだいたい300文字で」というようなお願いをすることもありますが、デザイナーさんにデザインを依頼するときには、1行の文字数を考えながらラフを作成します。ある程度編集者としてのキャリアを重ねると、「これくらいのスペースなら、文字サイズが14Qで28文字×8行くらい」とイメージできるようになってきます。

Jedit Ωでは、1行の文字数を簡単に変更できます。先ほどの例で言うと、文書の1行文字数を28文字にすれば、大きくずれることなく文字数を調整できるわけです。

その上、Jeditは、ウインドウ左側に行番号を表示する機能もあります。いちいち数えなくても、何行目まで書いたのかがわかるのです。

文書幅を変更するには、[表示]メニュー→[行の折り返し]→[固定幅設定パネル]を選びます。
折り返しする文字数を指定して[変更]を押すと反映されます。
ウインドウの左側には行数が表示されます。もしも表示されない場合は、[表示]メニュー→[行番号を表示]→[行番号]を選びます。
ルーラも表示しておくと文字計算の参考になるでしょう。[表示]メニュー→[ルーラを表示]→[文字]を選びます。
新規書類を作成したときの表示設定は、[設定]パネルの[書類タイプ]で行います。左側で[基本]を選んだら[表示]タブに切り替え、[行番号を表示]や[ルーラー]の部分をこのように設定するといいでしょう。

Jedit Ωの魅力3:不可視文字を簡単に表示

3つ目の理由は、不可視文字を表示できることです。

「不可視文字」とは、文字どおり目に見えない文字のことです。半角/全角スペースや「タブ」コード、改行コードなどがその代表です。Jedit Ωでは、これらの目に見えない文字を、ユーザが見えるように記号で表示してくれます。

僕は長い間、出版社で雑誌の編集者をしていました。今もフリーランスとして、執筆だけでなく編集業務も行っています。編集業務では、自分以外の人が書いた原稿を整理することがよくありますが、そこで注意しなければならないのが、不可視文字なのです。

例えば、文字と文字の間に、余計な半角スペースが紛れ込んでいないか、余計なタブが紛れ込んでいないか、そして、半角スペースと全角スペースが混在していないか。デザイン工程に進む前、原稿整理の段階でチェックしておく必要があるのです。

[表示]メニュー→[不可視文字の表示]から、素早く不可視文字の表示/非表示を切り替えられます。

Jedit Ωの魅力4:半角・全角変換が簡単にできる

4つ目の理由は、テキストの半角・全角を簡単に統一できることです。

例えば、数字やカッコ類は、全角と半角が混在してしまうことがよくあります。デザイナーさんに原稿を渡すときは、これらの全角・半角の混在を解消してから渡したいものです。

Jedit Ωは、こうした全角・半角の統一を素早く、かつ簡単に指定できます。

[ツール]メニューから[全角・半角変換]を選びます。
設定パネルが出てきます。変換したいものを指定して、[変換する]ボタンを押すと実行されます。指定した内容は次に実行するときも引き継がれます。

Jedit Ωの魅力5:強力な検索・置換機能

紹介する順序は後のほうになりましたが、実はかなり重要なポイントです。検索・置換機能の強力さが、Jedit Ωの最大の魅力と言ってもいいでしょう。あえて後のほうにしたのは、多機能すぎて戸惑ってしまうかも…と思ったからです。

Jedit Ωの検索機能を使いこなす上では、「正規表現」について知っておくといいでしょう。正規表現というのは、さまざまな文字列や条件を記号で表せる表現方法です。

例えば「改行」の機能は[\n]となります。改行が2回続いているものを1回の改行にしたいときは検索欄に「\n\n」を、置換欄に「\n」と入れればいいのです。

正規表現ではほかにも、タブ(\t)をほかの文字列に置き換えたりすることもできます。すべての正規表現を覚える必要はありませんが、改行(\n)とタブ(\t)を知っておくだけでもかなり便利です。

なお、「\」(バックスラッシュ)は、[option]+[¥]キーで入力できます。

検索・置換をするときは、[検索]メニューから[検索]を選びます。
検索欄と置換欄に文字を入れて[次を検索]を押すと該当する文字列が選択されます。続いて[置換]を押せば置換されます。[すべてを置換]を押すと、検索条件に合致する文字列が一気に置換されます。
正規表現を使うには、[正規表現]のチェックボックスをオンにします。2回連続する改行を1つにしたいときはこのように記入します。
[…]ボタンを押すと、利用できる正規表現が選べます。改行やタブのほかに、行頭(^)や行末($)などを覚えておくといいでしょう。

Jedit Ωの魅力6:複数一括置換もある

検索・置換機能をさらに便利にしたのが「複数一括置換」という機能です。これは、いくつもの検索・置換をまとめて実行できるというものです。

多くの雑誌・メディアは、それぞれ「表記ルール」というものが定められています。例えば、「いったん」は「一旦」ではなく、必ずひらがなにするといったようなルールです。こういうときJedit Ωなら、表記の置換ルールをまとめておけば、複数一括置換機能を使ってテキストをまとめて置換できるのです。雑誌やメディアの編集者にとっては、なくてはならない機能といえるでしょう。

検索パネルを開いたら、[複数一括置換]タブをクリック。ここに検索と置換のルールを書いていきます。
動詞は活用がありますが、このようなバリエーションを書いておくと漏れなく置換できます。
つくったルールは[保存]ボタンを押して保存します。Mac内のどこかに、Jedit Ω用の一括置換ルールをまとめて保存しておくといいでしょう。
置換ルールはいくつもつくることができます。保存したルールは[読み込み]から呼び出せます。僕は雑誌ごとに表記ルールをつくって保存しています。
さらに複数一括置換機能を使えば、「だ・である」文を「です・ます」文に一括置換することもできます(一括置換後に細かな言い回しの調整は必要)。

Jedit Ωはどこでダウンロードする?

Jedit Ωは、公式WebサイトまたはMacのApp Storeアプリから入手できます。機能的にはほとんど同じですが、ほんのちょっとだけ違うところがあります。

アプリケーションアイコンがAppStore版はえんじ色、Web版はくろ色で表示されます。AppStore版もWeb版も機能は同じです。ただApp Store版はサンドボックス環境で動作するためセキュリティが高い反面、AppleScript内でpath名指定で外部ファイルをアクセスできないなどのセキュリティ上の制限があります。どちらの版にしても大きな違いはありません、あえて言うなら、他のアプリとのアップデート操作の共通化/容易さで選ぶならAppStore版、AppleScripなどのマクロの利用を中心にお考えのかたはWeb版をおすすめします。

(Jedit Ω公式サイトより)

僕は公式Webサイトからダウンロードしたものを使っていますが、AppleScriptを使わない人はどちらでもいいのかもしれませんね。

どちらも無料で利用できますが、高度な機能を使用するには課金が必要です。金額はWeb版もApp Store版も2400円です。

この記事に書いた検索・置換機能な度は、有料版にしなければ利用できません。金額に見合った機能はあると思いますので、有料版で使うことをおすすめします。

Macで日常的に文章を扱う人は、ぜひ1度試してみてください。

Jedit Ω 公式サイト(Artman 21)

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